1951 年 4 巻 4 号 p. 182-187
研究目的
織維の物理的性質 (stress-strain曲線) が既知の場合各種牽切ドラフト比に対する牽切ステープルダイヤグラムを理論的に求めんとしたものである。
研究結果
1) 繊維の物理的性質 (stress-strain曲線) が既知の場合は第1、2報 (繊学誌投稿中、26年8, 9月掲載予定、本文2節に計算式概略を再記せり) により各種牽切ドラフト比に対する切断繊維長がゲージレングスGに対する比l/Gとして求めることが出來るから、これと切断曲線 (仮定叉は実験値より求めた) とを用い図式解法により牽切ステープルダイヤグラムを容易に求めることが出來た。
2) 從來希望牽切長、ステーブルダイヤグラムを得んとする場合は単に勘と経験叉は極めて小範囲の実験 (但し10数年、数10種に亘る) により牽切ドラフト比並にゲージレングスを決定して來たし叉現にされつゝあるように思われるが、1段牽切の場合なら兎も角2段3段以上の牽切の場合は如何に系統的なる大仕掛けの実験を行うとも、影響する係数が多くて、任意牽切ドラフト比、任意ゲージレングスの場合における牽切ステープルグイヤグラムは勿論叉逆に希望のステープルダイヤグラムを與えられた場合これに近い牽切を行うための最良のが一ジレングス、牽切ドラフト比及び切断段数を決定することは極めて困難不可能に近かつた。然るに本法による時は極めて容易簡単にこれ等の関係が計算並に図法により求められることが解つた。