繊維機械學會誌
Online ISSN : 1883-8715
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綿状物質の力學的性質
(第4報) 円筒中に圧縮される繊維塊のかさ及び圧縮エネルギについて
若山 一夫服部 達吉
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1956 年 9 巻 10 号 p. 683-691

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抄録

研究目的繊維の圧縮性能を試験するとき, まず問題になるのは圧縮量と荷重との関係である.本報では前報に引続いてこれに関する理論式を求める・更に関連して圧縮エネルギの理論式も導き同時に実験的の例証を試みる.研究結果 (1) 円筒中繊維塊の圧縮の場含, 繊維の実体圧縮を含まない軽荷重範囲で, かさ (L) と荷重 (P) との間に (初期圧縮は含まない) L=b/P+c+aのごとき関係が得られた.これはvanWykの研究のごとき無理な仮定を必要としない. (2) 上記のL, Pだけを測定する普通の方法ではa, b, C等の常数を決めるのが困難である.筆者等の測定方法によると, 筒壁の摩擦力を差し引いた荷重Wについても前式と同形のL=b'/W+c+aの関係であるがa, b', cが一義的に求められる. (3) そしてb'=b/kの関係があり・これは標準圧縮エネノレギE0と定義されるものである.kは試料の横膨張の性質をあらわしPとWとの間の関係を決める値で前報までに得たところのものである. (4) E0とkの値は圧縮の際の弾性ひずみエネルギについての目安を与え, 繊維塊圧縮性の評価に役立つと思われる.

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