1982 年 35 巻 6 号 p. T79-T86
目的 織布解析法への適用が妥当であると考えられる糸特性の把握を目的として, 糸の引張りならびに圧縮試験を行い, 繊維集合体としての基本的な材料特性を明らかにする.また, 数値実験により, 物理的意味を損わず本解析法に適合する糸特性を見出す.成果 (1) 糸の伸長特性は, 試料長に依存し, 不均質な挙動を呈する.とくに, 糸を構成する単繊維長前後の試料長を選択した場合には, 上記の特性を顕著に見ることができた.(2) 圧縮変形下における糸横断面の形状変化や繊維密度の分布を顕微鏡観察した結果, 非対称な形状の変化や, 不均一な繊維の分布を観察することができた.(3) 平均単繊維長を考慮して糸の伸長特性を解析に導入すること, ならびに1/4から1/2の値を圧縮変形比として用いることにより, 実用上有意義な織布設計指針が得られた.