繊維機械学会誌
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インターレース加工に関する研究
(第4報) インターレーサ内における糸の姿勢および糸の位置と交絡数の関係
家元 良幸蝶野 成臣田中 孝幸
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1988 年 41 巻 2 号 p. T30-T37

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抄録

目的 インターレーサ内の糸の運動を明らかにするための基礎実験として, 加工時の糸をスチールカメラで複数回にわたって撮影し, 糸の位置をコンピュータで統計的に処理することにより, インターレーサ内の糸の姿勢について解析する.又, 糸の位置と交絡数の関係についても検討する.成果 (1) 糸の姿勢の解析には, 糸道断面を6個のエリァに分割し各エリァにおける糸の位置を糸軸方向に調べる方法を用いた.その結果, 本研究範囲内ではインターレーサ内の糸の姿勢に際立った特徴は見られない. (2) 空気圧が2~4kg/cm2の範囲では, 糸は空気噴流軸の左右に均等に位置し頻繁に噴流を横切る.しかし, 空気圧が小さいために糸を充分開繊または交絡させることができない.空気圧が5~7kg/cm2と大きい場合, 糸は噴流軸の片側に位置し噴流を横切る回数は少ない.すなわち, 空気圧の小さい範囲と大きい範囲での交絡数の少ない原因は異なる.従って, 空気圧の変化だけでなく糸の運動も考慮すれば, 空気圧が4.5kg/cm2のとき最大となる交絡数の変化を説明できる. (3) 糸速の増加と共に糸の位置に偏りが生じ, 糸が空気噴流を横切る回数は減少する.交絡数と糸速が単純に反比例関係で表されないのはこれが原因であると考えられる. (4) フィード率の増加と共に糸張力が減少し, 糸が空気噴流を横切る回数は減少するため, 交絡数も減少する.フィード率が小さい場合, 糸の運動は糸道の中心に制限されるため頻繁に噴流を横切るが, 糸張力が大きいので交絡部はあまり生じない.従って, フィード率がおよそ1%で交絡数は最大となる.

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© 一般社団法人日本繊維機械学会
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