繊維機械学会誌
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紡速10および12km/minで紡糸したポリエチレンテレフタレート繊維の超分子構造,力学的性質および染色性
岩田 道隆上出 健二栗木 登美男松尾 輝彦
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1992 年 45 巻 12 号 p. T245-T256

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抄録

紡速10および12km/minで紡糸されたas-spunポリエチレンテレフタレート (PET) 繊維の超分子構造, 力学的性質および染色性を既報の紡速9km/min以下で紡糸されたas-spunPET繊維についての結果 (本誌, 38, T85, T93 (1985)) と比較検討した.広角X線による回折強度曲線, 干渉顕微鏡による干渉縞, 示差走査熱量計 (DSC) による融解曲線, 動的粘弾性測定によるtanδ―温度曲線を解析することにより繊維の超分子構造を評価した.また, 引張りによる応力―歪み曲線から力学的性質を, 分散染料による染着速度曲線から染色性を評価した.その結果, 紡速を9km/minより12km/minにまで増加させるとasspun PET繊維は, 紡速9km/min以下で紡糸した繊維の測定値と比較して, (1) 結晶化度の増加はないが結晶サイズは大きくなる. (2) 分子鎖の充填度の小さい無定形領域が増す. (3) 繊維内外の配向度の差はますます助長される. (4) 引張破断強度はほとんど変化しない. (5) 染色性は無定形領域における充填度の小さい領域の増加に伴い向上することが明らかになった.

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