繊維機械学会誌
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クレープのシボ設計に関する研究
(第2報)クレープ中の隣接する強撚糸間の位相差
石倉 弘樹加瀬 晋中島 勝
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1992 年 45 巻 4 号 p. T49-T58

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抄録

目的 よこ糸に強撚糸を挿入したクレープの布中で隣接する強撚糸が作るらせんの位相差が決まる機構を明らかにする.成果 たて糸のひずみエネルギーが最小になる位置に位相差が決まると考え, たて糸とよこ糸の交差点を点接触と仮定した布モデルにより, 単純化した条件下で位相差によるらせん発生時のたて糸のひずみの2乗の総計を比較した.また実際のクレープを試作し強撚糸が作るらせんの位相差を観察した.得られた結果の概要は次のとおりである. (1) モデルによる解析では, 同方向の撚り糸が隣接すると位相は一致する.(2) モデルによる解析では, 異方向の撚り糸が隣接するとらせんの断面形状により位相差は異なり, らせんが布面に対して垂直方向につぶれた楕円らせんか真円に近い場合は位相は半周期ずれ, 布面に対して水平方向につぶれた楕円らせんでは位相が一致する.(3) 試作結果は, (1), (2) のモデル解析結果により良く説明できる.

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© 一般社団法人日本繊維機械学会
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