1997 年 50 巻 3 号 p. T61-T67
目的 ニュートン流体に短繊維を分散させた流体の放射状流れにおいて, 繊維の配向角と配向分布が流れに従ってどう変化するかを観察し, せん断と伸長の流れ場が繊維の挙動に与える影響を調べる.成果` ニュートン流体中では短繊維は必ずしも流れ方向に向くとは限らない.壁近傍ではせん断の影響が流路の厚みの中央部分に比べて大きいために流れ方向に配向する繊維もあるが, 逆に流路の中央部分では減速の影響が大きいために流れにほぼ垂直に配向している繊維が多い.そのため, 流路を厚さ方向で見通した場合, 下流域では配向角が40°から60°の範囲にあり, 厚さ方向で繊維配向角が広く分布し, あたかもランダムに配向しているようにみえる.