ばね論文集
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ばね材料における非金属介在物評価のための各種検鏡法の比較
非金属介在物評価法調査委員会報告
西島 敏鈴木 栄三森井 惇雄小幡 智之内堀 勝之新倉 芳治二沢 喬一郎小新井 治朗伊藤 幸生
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1986 年 1986 巻 31 号 p. 113-138

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抄録

最近の高強度化したばね材料においては, 非金属介在物の適切な評価がその疲労強度の確保のために重要なファクターとなっている. 当委員会のアンケートを含む先の研究において, JISの顕微鏡試験法は製鋼段階での品質管理には用いられても, 疲労を考えたばね鋼の評価には十分有効とはいえないことがわかった.
そこでばね鋼中の非金属介在物に適用可能な新しい評価法を考える際の共通基盤を得るために, 介在物レベルの異なる2つのSAE 9254系の鋼を用いて, 既存の各種検鏡法による比較評価の共同研究を行った. 結果は次のようにまとめられる.
(1) JIS法は介在物の寸法把握ができず, またレベルが低いときには余り有効ではない.
(2) いわゆるミシュラン法は介在物の量と寸法を評価でき, 作業の標準化によっては高検出力が期待できる.
(3) ASTM-D法は単一の値が得られない点で難点があり, また測定時間も長いが, 比較評価性は高い.
(4) ベカルト法は, ASTM法の重み付け評点化を計ったもので, 十分な標準化がなされれば有効なものになると思われるが, 現状では良く知られていない.
(5) VDEh-M法でも単一の値は得られないが, 適切な評点付けを加え, かつ作業の簡単化を計ればその可能性はある.
(6) 自動画像解析装置は現状ではばね材料のような高清浄度鋼に適用するには, ごみの識別法など, まだ幾つかの課題がある.

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