弁ばね用として広く用いられているSi-Cr鋼をベースにC, Si, Mn, Cr, Mo, V, Wの合金元素を添加したオイルテンパー線およびばねを用いて引張試験・温間締付試験を行い, 温間へたり特性におよぼす化学成分の影響および焼もどし軟化抵抗と温間へたり特性との関係を調査した. その結果, 温間へたり特性の向上にはマトリックスを強化するSiや強い炭化物形成元素であるMo, V, Wの添加が有効であることが判明した. また, 焼もどし軟化抵抗と残留剪断歪の間には強い相関が認められ, 焼もどし軟化抵抗の大きい鋼が小さな残留剪断歪を示すことが判った.
さらに, 2%Mo-2%Cr鋼の温間へたり特性はSi-Cr鋼より著しく向上することが判明した.