ばね論文集
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ばね鋼の回転曲げ疲労強度に及ぼす介在物の影響
金澤 健二阿部 孝行
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1992 年 1992 巻 37 号 p. 15-23

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抄録

ばね鋼SUP7, SUP9A及びSUP12の回転曲げ高サイクル疲労特性を調べ, き裂発生及び疲労強度と硬さの関係に及ぼす非金属介在物の影響を検討し, 以下の結果を得た.
(1) 400HV以上の材料でも, 介在物を起点とした破壊を起こさない場合の108サイクル疲労強度 (MPa) とビッカース硬さHVとの関係は, 400HV以下の材料に対して得られているσwb=1.71HVで表すことができる.
(2) フィシュアイ破壊を起こす場合, ステージI型き裂が介在物とマトリックスの境界から複数の方向に向けて形成されているのが観察された.
(3) 回転曲げ疲労強度とビッカース硬さの比σwb/HVの上限は1.71で, この値は介在物評点の値が大きくなるほど, また硬さが高くなるほど小さくなる. 硬い材料ほど, より小さな介在物でもき裂発生の起点になりえる.
(4) 108サイクル疲労強度とビッカース硬さとの関係の推定曲線を, 破壊力学的検討から提案した. 実験結果と推定結果との相違は, 代表き裂長さAとして介在物回りのステージI型き裂の領域を含めることにより理解することができた.

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