抄録
琉球列島における現生の非飛翔性哺乳類相は,北部,中部,南部および尖閣諸島の間で異なり, トカラギャップとケラマギャップが分布の重要な境界として認められる。北部には日本列島との共通種がおり,これらは更新世後期以降に隔離されたと推測される。中部には中新世に侵入したであろう固有性の高い種が分布している。南部には更新世中期にベンガルヤマネコとの共通祖先から進化したであろう固有種のイリオモテヤマネコが知られている。尖閣諸島には2 種が分布し,このうち一つはセンカクモグラで, 1 属1種ともされるが台湾のタイワンモグラに近縁な可能性もある。もう1 種は大陸との共通種セスジネズミで,更新世後期に侵入したと思われる。