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ザィール国カフジ・ピエガ国立公園で得られて同定された植物のリスト
湯本 貴和山極 寿一Ndunda MWANZA丸橋 珠樹
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1994 年 3 巻 3+4 号 p. 295-308

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抄録

ザィール国カフジ・ピエガ国立公園における1987 年から1991 年にわたるヒガシローランドゴリラ(Gorilla gorilla graueri) とチンパンジー(Pan troglodytes schweinfurthii) の研究で採集され,種まで同定された植物をリストとしてまとめた。カフジ・ピエガ国立公園は熱帯低地林と熱帯山地林をふくみ,その双方にゴリラとチンパンジーが同所的に共存している。本論文では熱帯低地林と熱帯山地林に設けたふたつの調査地から得られた83 科329 種の植物をリストとして挙げている。うち, 118 種は熱帯山地林のカフジ地区(標高1,800 m から2,600 m)で得られたもので, 220種は熱帯低地林のイテベロ地区(標高600m から1,300 m)で得られたものである。両地区に共通して得られた種は9種に過ぎなかった。植物の採集はゴリラとチンパンジーの餌植物と, 10 m × 8,000 m のベルト・トランセクトに出現した胸高直径10 cm 以上の木材重に関しては網羅的に行っている。それぞれの植物種について,生活型,現地名(レガ族とマシ族) ,類人猿と森林ゾウが餌として用いたかどうか,用いたとしたらどの部位か,を示した。このリストは植物相の解明という点では類人猿の餌植物と高木種に偏りがあるものの,類人猿の調査地間の比較としての予備的な植物目録づくりの役を果たすと考えられる。

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© 1994 日本熱帯生態学会
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