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西マレーシア, パソーでの非フタバガキ科植物の埋土種子の生残と発芽
神崎 護Son Kheong YAP木村 勝彦岡内 由香山倉 拓夫
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1997 年 7 巻 1+2 号 p. 9-20

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抄録

熱帯多雨林の埋土種子の生残·発芽の過程を西マレーシアのパソー森林保護区で調査した,新鮮な充実種子を採取し,アルミニウム製の網で作成したバッグに詰めて,閉鎖林の土壌中5cmの深さに埋めた.埋設した種子を3ヶ月から3年後にかけて順次回収し,種子の状態をチェックした,またオープンサイトでの発芽試験を採取直後の新鮮な種子と,掘り出した種子について行った,種子の生残過程はワイブル分布モデルで回帰し,未発芽生残種子の平均寿命を推定した.原生林構成種の16%は1年以上の平均寿命を持っていたが,のこりは1年以下の短い寿命しかなかった.二次林種の平均寿命は15ヶ月から10年以上にぱらつき,1年以上の平均寿命をもつ種は77%に達した,さらに,種子の平均寿命は種子の発芽型,果実形態,種子重への強い依存性を示した.二次林種の長寿命種子は,オープンサイト条件下では急速に発芽するが,埋土種子集団ではほとんど発芽が記録されなかった.一方原生林構成種の長寿命種子は森林中でも緩やかに発芽し,彼らの遅延発芽は,種子をとりまく木質の内果皮によって引き起こされていると思われた.

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© 1997 日本熱帯生態学会
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