東北数学教育学会誌
Online ISSN : 2435-8886
Print ISSN : 2435-0613
「振り返って考える」ことに着目した数学の授業分析のための枠組みの構築
大学生を対象とした調査をもとに
川村 理孔
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2024 年 55 巻 p. 3-15

詳細
抄録

本稿は,「振り返って考える」ことに着目した数学の授業分析のための枠組みを構築することを目的とした。そのために,大学生を対象とした調査の分析・考察を行い,振り返る対象をもとに,「振り返って考える」ことを特徴づけ,枠組みを構築した。その後,枠組みをもとに,問題解決の進展の要因についての考察を行った。 調査の分析・考察から,「振り返って考えること」は,Revise(問題の条件・仮定を対象として振り返って考えること),Review(問題解決過程を対象として振り返って考えること),Look Back(以前から持っている知識を対象として振り返って考えること)と特徴づけることができた。これをもとに,枠組みを構築し,問題解決を捉え直すと,「振り返って考える」ことで,新たな方針を見出す,方針を転換・修正する問題解決の進展が見出された。本枠組みを用いて,実際の授業 を分析することで,学習や問題解決の進展の詳細な流れを捉えられる可能性が示された。

著者関連情報
© 2024 本論文著者
前の記事 次の記事
feedback
Top