1990 年 14 巻 15 号 p. 7-12
どのようなユーザにとっても容易に使いこなすことができる情報機器を設計するためには、設計の初期の段階からユーザがどのようにそれらを使うのかを検討しておくことが必要である。本論文では、人間と機器の相互作用場面を表現するために考案されてきた方法を紹介し、それらの表現によりユーザの認知活動のどのような側面を解析できるかを考察する。認知的活動としては、長期記憶、短期記憶、知覚のレベルを扱う。また、表現としては、ユーザの行動の過程をトップダウン的にモデル化するタスク解析的表現、ボトムアップ的に捉えるローカルコネクショニストアプローチ、そして、ユーザの概念構造に注目した表現を取り上げる。各表現は、万能ではなく、特長を活かした使い方をすることが重要なことが示唆される。