1996 年 20 巻 72 号 p. 89-96
近年、種々の移動通信システムの屋内での使用が頻繁になってきた。これらのシステムを有効に使用するためには、床、天井、壁等を構成する建材の電磁特性を把握することが需要である。本研究では、大型建築物の主構成材であるRCスラブの、移動通信周波数帯における電波反射・透過特性の定式化を試みた。まず、種々の電磁気学的理論を応用した定式化を考察した。考察の手順は、最初に鉄筋格子での反射・透過特性、コンクリートの複素誘電率の特性に対して行い、その後にこれらが複合したRCスラブとしての考察を、多層媒質モデルにより行った。そして、この有効性の検討を、マイクロ波、ミリ波を用いた縮小モデルシミュレーション実験から行った。