人間と環境
Online ISSN : 2433-6408
Print ISSN : 2185-8365
徳川・五島本源氏物語絵巻 ダイナミクスに至る構図 I : -〈対置的スタティクス〉と〈有機的ダイナミクス〉-
菅原 布寿史
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 2 巻 p. 117-142

詳細
抄録

徳川・五島本の構図は、絵具が剥落・変色した現状では形式的で静的なものと見られてきた。しかし、現在は最新の復元模本を参照することにより、当時の絵師がより優れた物語の視覚化を試行錯誤して生み出したダイナミックな構図を読み取ることができる。本稿では、徳川・五島本の内建造物が描かれた十八作品を分析。結果として、二分割した画面に主要なモチーフを配置することで物語内容を視覚的に表現した〈対置的スタティクス〉、様々な動勢が影響し合って動的な運動感で画面内を満たし、ドラマティックなインパクトが感性に訴えかける〈有機的ダイナミクス〉、そして両者の中間的な構図に分類した。そして、〈有機的ダイナミクス〉の構図である〈柏木グループ〉八作品の明度による視覚的刺激の強弱を基準にしたダイアグラムを作成し、ダイナミクスのメカニズムを分析する。

著者関連情報
© 2011 人間環境大学
前の記事 次の記事
feedback
Top