人間と環境
Online ISSN : 2433-6408
Print ISSN : 2185-8365
文明の代謝史観序説
吉野敏行
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2015 年 6 巻 p. 55-70

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抄録

「文明」概念の変遷を概観し、今日の地球環境問題や資源・エネルギー問題、そして情報技術の急速な発展を踏まえて、「文明」とは環境変化に対する人類社会の創造的な適応の仕方であり、人間相互及び対自然との間の物質・エネルギー・情報の代謝・循環・蓄積・制御のあり方であると定義した。この代謝形態から見た文明の類型は、狩猟採取型文明、農耕牧畜型文明、鉱工業型文明、そして現在移行しつつある環境情報型文明である。農耕牧畜型文明は太陽の経常的エネルギーを起源とする再生可能エネルギーと地上資源に依存した代謝形態であり、鉱工業型文明は地下資源に依存し、地上に膨大な人工物と廃棄物を蓄積する代謝形態である。環境情報型文明では、地下資源の過度な依存から脱却し、高度な情報技術基盤のうえに、蓄積された地上資源の効率的な循環的利用が図られ、エネルギー資源も太陽の経常的エネルギーを起源とする再生可能エネルギーの大規模利用へ高次復帰する。

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© 2015 人間環境大学
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