都市有害生物管理
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配電設備における野生動物起因の停電事故発生状況
白井 正樹 藤岡 珠代
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2024 年 14 巻 1 号 p. 3-8

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抄録
配電設備として設置されている電柱では,カラス属の営巣やアオダイショウ Elaphe climacophora の登はんなどにより停電事故が発生する.これら野生動物に起因する停電事故は,季節や活動時間帯などの生態特性,あるいは気象要因によって発生リスクが変化すると考えられる.そこで,本研究では,新聞記事として発信された停電事故情報を利用して,停電事故と野生動物の生態特性や気象要因との関連について検討した.2017 年 1 月から 2022 年 12 月までの新聞記事から,鳥類の巣とヘビに起因する電柱の停電事故情報(場所,年月日,時刻)を 161 件収集した(鳥類巣:139 件,ヘビ:22 件).また,気象庁の過去の気象データ検索から,各停電事故の発生日とその 3 日前までの降水量,平均風速,日照時間を抽出した.鳥類巣による停電事故はカラス属の繁殖期である 4 月が最も多く,日中に多く発生していた.ヘビ起因の停電事故も繁殖期である 7 月にピークが見られたが,主に夜間に発生する傾向を示した.また,鳥類巣による停電事故は,降水量が増加し日照時間が短くなる,いわゆる雨天に発生していた.以上の結果から,野生動物起因の停電事故の発生プロセスに生態特性や気象要因が影響していることが示唆された.
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2024 都市有害生物管理学会
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