抄録
1. ニッポンマイマイGanesella japonicaの陰莖鞘の遠端部生殖腔から數粍の間は巨大な腺細胞が密集して管壁の大部分を占めてゐる.該部を陰莖鞘の腺部と呼ぶ.2. 雄性生殖器の中, 精莢を形成する部分(鞭状器, 陰莖本體, 陰莖附屬枝の一部)には多量の石灰腺を有する.3. 陰莖附屬枝appendixには特に著大な2條の襞が縱走し, 陰莖本體の内腔は該兩襞によつて造られた縱溝に通じ, 直接陰莖鞘とは連絡しない.此の陰莖附屬枝は交接の際反轉突出して陰莖の最先端に位する乳頭と變り, 兩著大襞間の縱溝は精莢の形成を分擔し, 更に其輸送補助を司る.4. 精莢の形態及び其形成部位を記載す.5. 精莢は互に相手の受精嚢柄部及び膣で交換される.