阿蘇カルデラは, Aso-1〜Aso-4の4回の大規模な火砕流噴火によって形成された.これら火砕流堆積物や後カルデラの中央火口丘群の岩石は,中部九州の他の岩石に比べK_2O量が多いなどの特徴がある(小野・他, 1977;小野・渡辺, 1985など).カルデラ壁にはAso-1火砕流の下位に,安山岩を主体とし,一部玄武岩,デイサイトや流紋岩からなる先阿蘇火山岩類が広く分布する(小野・渡辺, 1985; 古川・他, 2009; 三好・他, 2009).本研究では,カルデラ東部の坂梨付近において,阿蘇カルデラ起源のAso-1と先阿蘇火山岩類の間に挟まれる溶岩を確認し,この溶岩が阿蘇火山を形成した噴出物と同じ岩石化学的性質を持ち, Aso-1に近い時期に噴出したとの結論を得たため報告する.