抄録
新梢の展葉数を指標とする露地栽培ブドウ‘デラウェア’のGA1 回目処理(以下,GA 処理)適期把握のため,サンプリングする新梢の適切な位置や本数を定量的に検討した.1987 年から2018 年までのうち30 年分の新梢展葉数のデータを用い,結果母枝上の全新梢の平均展葉数が9.5 枚に達した日(全梢葉基準日:大阪府でGA 処理適期の基準)における結果母枝内の新梢の位置と展葉数の関係を解析したところ,展葉数は先端の第1 新梢で最も多く,基部に向かうにつれて徐々に減少した.実用性を考慮し,推定誤差が小さい第1 新梢,第2 新梢の展葉数を対象にサンプル数と推定誤差との関係を解析し,GA 処置適期を逸脱する確率を5%以下にできる範囲を推定した.その結果,大阪の気象条件下では第1 新梢を用いる場合は第1 新梢を8 本サンプリングしてその平均展葉数が10.5 枚に達した日,第2 新梢を用いる場合は第2 新梢を8 本サンプリングしてその平均展葉数が10 枚に達した日がGA 処理適期の指標になると推定された.