本研究では,セッションデータに対してItem2Vecによるアイテム分散表現を導入した推薦システムを提案する.さらに,セッションデータに特化したユーザ分散表現(リアルタイムユーザ表現)を推薦時に導入することで,推薦の精度の向上を目指す.リアルタイムユーザ表現は推薦のタイミングに応じて,単純な計算でリアルタイムに構築されるという特徴を持っており,ユーザ嗜好のリアルタイムな追跡を試みている.推薦アイテムの探索時にはリアルタイムユーザ表現に加え,他のユーザ分散表現も考慮している.実験結果として,提案手法のRecall@k・MRR@kはItem2Vecよりも高く,FPMCのMRR@kと同等のスコアになることを確認している.またFPMCと比較して,提案手法はモデル訓練が短時間で可能なことを確認している.