ある小規模な漁港内の水質改善のために防波堤の一部に開口部を設け、海水の流動を制御することによって海水交換を促進することを目的とした数値的な研究である。流動制御のエネルギー源としては潮汐を利用し、開口部の位置を変えて海水交換率と平均滞留時間などの比較を行った。海水交換率は、潮流計算によって時々刻々の流れ場を求め、流れのトレーサーとして投入された仮想粒子の動きと分布状態から計算される。この方法により海水交換のメカニズムが視覚的に捉えられるとともに、海水交換を促進するために防波堤の一部に開口部を設けることの有効性が示された。