貯蔵、養殖などの海洋資源開発や海中空間利用を目的に、海中に広く展張する比較的柔軟な海中構造物の出現が期待されるが、そのような大空間構造の一つとして薄膜付きアーチ骨組み構造が考えられる。このため、この種の構造に対する安定性の判別式を定めるためには、カオス状態に至るまでの動的挙動に関する現象を把握する必要がある。本研究では, 大空間構造の基本構造となる、水圧による従動力を受ける円形アーチ構造を対象として、負荷時の擾乱による動的挙動を解析し、その不安定現象の安定限界の近傍で現出するカオス的挙動に至る過程を調べた。これには、水圧負荷時における擾乱による円形アーチの安定領域図を作成し, その共振域とその近傍における動的挙動について求めたパワースペクトル、応答波形、相平面およびポアンカレ断面を分析し、その準周期運動からカオス非周期運動に至るまでの現象を解明し、アーチ構造に対する安定性判別法を策定するための礎とした。