環境問題が深刻となる近年、再生可能なエネルギーとして風力発電が注目されている。しかし、風力発電は他の発電技術に比較して、生産空間に対しての潜在エネルギー密度が小さい。さらに、無風、および微風時には発電効率が発電できないという問題をかかえている。これにたいして、最近では、発電機をモーターとして一時的に回転を与えるパワーアシストにより、微風時においても、積極的に発電することが可能になりつつある。一方、将来の風力発電事業の拡大に伴い、さらなる安定した電力供給が求められる時代が来ることを考えると、単機での発電効率改善に加えて、複数台、つまり、風力タービン群としての取り扱いをする必要がある。この場合、前述したパワーアシストに伴う電力消費量は、発電量と比較しても大きな割合を占めるため、将来的には、この消費量をできるだけ軽減するような対策を講じることが要求される。そこで、本報では、パワーアシストに必要な電力を他の風力タービンから供給できるような風車ネットワークを想定し、ネットワーク全体の発電電力が、最大になるような最適パワーアシスト制御法を、協調性を考慮した強化学習を用いて風力タービン群自身が自律的に導出する。そして最後に、この制御法により、風力タービン群全体の準最適な発電が実現されることを数値シミュレーションにより示す。