抄録
本稿は、女性の再就職支援としても重視されている離職期間中の学び直し、再就職時点の仕事と家庭の両立負担が、再就職後の離職や仕事満足とどのような関わりを持つのかを検証した。3 年以上の離職期間を経て再就職した経験を持つ、配偶者・子のいる25~54 歳の女性を対象とするアンケート調査の個票データを使用し、再就職後の離職への移行に関するイベントヒストリー分析を行った。また、再就職後に就業継続しているサンプルを対象に仕事満足に関する 2 項ロジット分析を行った。
主な結果として、離職期間中に行った大学や地方自治体の講座での学びが、再就職後の離職を抑制する半面、再就職時の仕事と家庭の両立負担はその後の離職を促していた。再就職時、夫が家事・育児に明確に協力的でなかった女性の場合、仕事再開後に家族・親族以外に仕事やキャリアについて相談するなど、第三者によるサポートを得ていることが再就職後の離職を抑制していた。離職期間中の学びや再就職際の仕事と家庭の両立負担は仕事満足とほとんど関わりを持たず、再就職後のキャリアの探索に関わる行動や、再就職時に夫が家事・育児に協力的であったことが仕事満足を高めていた。