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Print ISSN : 1881-0241
Proline に富む内因性抗癌ペプチド PR-39 遺伝子を用いたシグナル伝達ブロックによる肝癌転移の遣伝子治療
藤本 佳範大竹 孝明鈴木 康秋田中 浩二生田 克哉斉藤 浩之大平 基之小野 稔高後 裕
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1999 年 5 巻 1 号 p. 176-177

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抄録
PR-39はブタの小腸粘膜および白血球から精製されたprolineに富む内因性の抗菌ペプチドである.筆者らは, このPR-39がproteoglycan型接着分子であるsyndecanの発現を誘導するとともに, 肝癌細胞の固有運動能を低下させ, 細胞形態とactin構造に変化を起こすことを明らかにした.また近年, PR-39 が白血球のp 47phoxのSH 3 dornain に結合し NADPH oxidase の活性を抑えるという報告や, PR-39 が SH 3 domain を有するシグナル伝達分子であるp 130Cas に結合するという報告が出された.
そこで筆者らは, PR-39 のシグナル伝達における機能を明らかとするために, もっともよくシグナル伝達系が解明されているras の系を用い, PR-39 がras のシグナル伝達系をブロックし, 細胞増殖を抑制するという新しい癌の治療法に有用な遺伝子である可能性を明らかにした.
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