やどりが
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オオモンシロチョウについての一考察(第2報) : オオモンシロチョウの飛来日の気象解析による推定
上野 雅史
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1997 年 1997 巻 172 号 p. 2-16

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抄録

オオモンシロチョウ(Pieris brassicae Linnaeus)の国内最初の採集記録は,これまで1996年6月8日に北海道岩内郡共和町上中ノ川で小樽市在住の本間定利氏により採集されたものであったが,今回新たに1995年9月20日に札幌市在住の野崎太一氏により北海道虻田郡京極町ペーペナイ林道(以下北海道を省略する)で雄1頭が採集されていたことがわかった。したがって,現段階では,この記録が国内最初の正式採集記録となった。ただ,上記の記録より少し前に札幌在住の真部裕氏が札幌市南区芸術の森付近において1995年9月8日に採集したものの,残念ながら標本はすでに採集者の手を離れて紛失していることもわかった。筆者は,この採集記録を正式記録と認定すると論議が湧くことになるため,1995年に確実に飛来していたことを証明した採集記録の一つとして紹介することにした。1996年以前の記録は,今回の採集記録の他に,第1報で報告した1993年と1995年の各1例の食害例もあることから,さらに追随記録が発表されることも予想される。第1報では,高層の気流による大陸側の気象解析,採集・確認記録および生息環境等を中心に述べてきたため,本稿では,高層天気図等の気象資料等を基に総合的に飛来解析を行った結果,高層の気流による飛来説の他,一部地域における飛来時期の推定を行った。

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© 1997 日本鱗翅学会
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