山口医学
Online ISSN : 1880-4462
Print ISSN : 0513-1731
ISSN-L : 0513-1731
Case Reports
巨大感染性肝嚢胞の一例
田中 俊樹竹中 博昭林 雅規小野田 雅彦守田 信義濱野 公一
著者情報
キーワード: 感染性肝嚢胞, 開窓術
ジャーナル フリー

2005 年 54 巻 2+3 号 p. 63-68

詳細
抄録

症例は56歳,女性.前日よりの腹痛を主訴に当院を受診し,肝嚢胞の診断で入院となった.入院後より38℃台の発熱が出現し,白血球数・CRPの上昇を認めた.腹部CT・MRIより最大径21cmの巨大な感染性肝嚢胞と診断された.経皮経肝ドレナージが困難であり,手術目的で当科転科となった.転科後も炎症所見と腹部緊満が急激に増悪したため,緊急手術を施行した.開腹すると肝嚢胞は臍直上まで及んでいた.開窓術を行い,胆汁の漏出部を縫合閉鎖した.肝中央に巨大な欠損腔が出来たため,元来の形状となるように肝実質を縫合形成した.内容液の細菌培養は陰性であった.術後経過は良好で,術後21日目に退院した.術後4ヶ月目には,肝は良好な形態を呈した.感染性肝嚢胞と診断されてドレナージが困難な場合は,速やかに手術を行うべきである.また,開窓術後の著明な変形が危惧される場合には,縫合形成も考慮されるべきである.

著者関連情報
© 2005 山口大学医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top