山口医学
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症例報告
臨床的に肝原発が示唆された神経内分泌癌の一例
河郷 亮白築 祥吾岩本 拓也佐伯 一成浦田 洋平日高 勲石川 剛高見 太郎内田 耕一寺井 崇二山﨑 隆弘坂井田 功
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2014 年 63 巻 1 号 p. 53-60

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抄録

症例は80歳代男性.左外耳道癌(扁平上皮癌)の精査目的で施行された陽電子放射断層撮影・コンピュータ断層撮影にて肝腫瘍を指摘され,精査加療目的で当科に紹介となった.慢性肝障害を伴わない径20mm大の単発性多血性肝腫瘍であり,血液検査及び画像検査所見からは診断に至らなかったため,経皮的肝腫瘍生検が施行された.免疫組織化学的にChromogranin A・Synaptophysin・CD56はいずれも陽性で,Ki-67 indexが70%であったため,神経内分泌癌(小細胞癌)と確定診断された.同病変に対して肝動脈化学塞栓療法(transcatheter arterial chemoembolization;TACE)が施行されたが,その4ヵ月後に超音波内視鏡下吸引穿刺生検にて膵頭部周囲リンパ節転移と診断され,その後は対症療法で経過観察された.TACE後14ヵ月で死亡し,剖検を行ったものの原発巣は同定し得ず,臨床経過より肝原発神経内分泌癌の可能性が高いと考えられた.

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© 2014 山口大学医学会
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