抄録
目 的:具体的な行動や考え方の模範となる人物である「ロールモデル」を持つことは,学習意欲を向上させ,医学教育でのその重要性が高まっている.今回,医学生に自分のロールモデルを挙げてもらい,その内容を分析し,ロールモデルに関連した医学教育のあり方について検討した.方 法:2013年,山口大学医学部医学科2年生に対して,ロールモデルについての授業を行った.学生に各自3名までロールモデルを挙げてもらい,グループワークを通じて情報共有した.結 果:138名の人物がロールモデルとして挙げられた.主な職業は,専門医,研究者,総合診療医・地域医療,文化人,開業医の順で,メディア等で著名な者が多くを占めていた.女性は16名,山口大学の教員は11名(うち臨床系教員は2名)であった.結 論:学生は多様なロールモデルを持っていたが,学内の臨床教員や女性医師がロールモデルになりえていない課題も明らかになった.女性医師や臨床医等の身近なロールモデルを提示する必要がある.