山口医学
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原著
日本人女性の尿失禁の実態ならびに腟圧と尿失禁との関連の検討
亀崎 明子田中 満由美
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2016 年 64 巻 2 号 p. 79-85

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抄録

日本人女性の尿失禁の実態ならびに腟圧と尿失禁の関連,骨盤底筋訓練の認知度と実施状況などを明らかにすることを目的として成人女性を対象に調査を行った.平成22年3月~平成24年7月に無記名自記式質問紙調査と腟圧測定を行った.分析対象数は88名であった.

 その結果,尿失禁群13名(14.8%),尿失禁経験群33名(37.5%),尿失禁なし群42名(47.7%)であった.尿失禁群13名のうち「治療中」1名,「過去に尿失禁の治療を受けたことがある」2名,「治療経験はない」は10名であった.治療経験がない者の尿失禁開始時期は半数が7年以上前であったことから,長期間尿失禁を放置している女性が多いことが明らかになった.骨盤底筋訓練を知っている者が65.9%であったが,実施している者や実施経験者は少なかった.尿失禁と腟圧の関連を検討するため,尿失禁群,尿失禁経験群,尿失禁なし群の3群間で最大収縮圧,平均収縮圧,収縮持続時間を比較した.その結果,いずれも尿失禁なし群が最大であったが,有意な差は認められず,各群における腟圧のばらつきも大きかった.以上のことから,女性尿失禁の放置を防ぐため,治療に関する正しい知識の普及を図ることが急務である.また,女性の尿禁制には強い腟圧が必要なのではなく,腹圧上昇や尿意切迫感が起こる直前に意識的に骨盤底筋群を収縮させることが重要であると考えられる.

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© 2016 山口大学医学会
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