山口医学
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症例報告
MAID療法を試みた頭部血管肉腫の1例
倉田 裕介若松 研弥中村 好貴一宮 誠武藤 正彦
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キーワード: 血管肉腫, MAID療法
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2015 年 64 巻 3 号 p. 199-203

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抄録

67歳,男性.頭頂部から左上眼瞼および右鼻翼にかけて広範囲に存在する紅斑と結節,潰瘍を主訴に当科紹介受診となった.病理組織学的所見において異型性のある腫瘍細胞が血管を模倣した管腔構造を呈しており,免疫染色においてCD31が陽性であったため,血管肉腫と診断した.明らかな遠隔転移は存在しなかったが,腫瘍が多発しており手術による完全切除が不可能と判断し,MAID(Mesna,Adriamycin,Ifosfamide,Dacarbazine)療法を行った.grade3の好中球減少とそれに伴う発熱を認めたが5コース終了時には腫瘍は著明に縮小しPR(partial response)が得られた.頭部血管肉腫は高齢者に好発するのが,自験例のように60歳代でpeformance status(以下PS)が0でありMAID療法を行うことができた稀な症例を経験したので,若干の文献的考察を加えここに報告した.

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© 2015 山口大学医学会
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