山口医学
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症例報告
深頸部膿瘍により残存した嚥下障害が適切なリハビリによって改善した一例
田中 信宏高橋 真紀
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2017 年 66 巻 2 号 p. 135-138

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抄録

【はじめに】

 今回我々は深頸部膿瘍により嚥下障害が残存したが,適切なリハビリテーションを行うことで経口摂取が可能となった一例を経験したのでここに報告する.

【症 例】

 68歳男性.食欲不振と胸部痛を主訴に救急外来受診した.右中咽頭から下咽頭にかけての深頸部膿瘍と診断.約4ヵ月の前医入院加療後,残存した嚥下障害に対するリハビリ目的で産業医科大学リハビリテーション科紹介となる.

【経 過】

 嚥下造影では舌骨の動きが悪く,右梨状窩の食物の残留を認めた.舌骨の挙上不良に対しては間接訓練,咽頭残留に対しては咽頭残留除去法の指導を行った.約1ヵ月後の嚥下造影では,舌骨の挙上不良と咽頭残留は共に改善傾向を示した.

【考 察】

 深頸部感染症後に嚥下障害が生じる理由として,高度な炎症の治療後に瘢痕形成をきたし喉頭の挙上制限が生じたためと考えられた.深頚部感染症の治療後に嚥下障害を生じた場合にも適切な評価,その結果に応じた訓練や摂食指導を行うことが重要である.

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© 2017 山口大学医学会
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