2020 年 69 巻 4 号 p. 161-168
近年のヒトゲノム解析における発展は,精密で個別化された医療の可能性を大いに高めてきた.我々は精密医療実現のために,体外診断用医薬品の遺伝子解析技術として,DNAマイクロアレイを新規に開発した.本技術は,PCR法と核酸ハイブリダイゼーション法を組み合わせた方法であり,目的塩基配列のPCR法による増幅・蛍光標識と3mm角のDNAチップ上に固定化されたDNAプローブとの特異的ハイブリダイゼーション反応とを組み合わせた方法を採用している.また,チップ表面をdiamond-like carbon層にて処理することでシグナル/ノイズ比を向上させた.性能評価として,抗がん剤イリノテカンの重篤な毒性と有意に関連し,検査対象となっているUGT1A1*28及びUGT1A1*6遺伝子多型をヒト臨床検体を用いて測定した.比較として既存法の直接シーケンシングとインベーダーアッセイを併せて実施した.本技術と既存法との測定一致率は100%であった.一塩基置換であるUGT1A1*6,TAリピートであるUGT1A1*28に加えて,一塩基挿入/欠失を含む他のUGT1A多型も同時に精確な判定が可能であった.処理時間(1.5倍以上の短縮)や必要検体量(20分の1以下)はインベーダー法と比べて優れていた.本技術によって,遺伝子多型や変異を複数同時に迅速かつ正確に測定でき,臨床現場での省力・効率や信頼性の向上が期待される.