2004 年 10 巻 1 号 p. 121-126
腰椎変性すべり症では,術者による除圧術式の違いが術後経過や成績に影響を及ぼす可能性がある.今回,筆者が一定の術式で手術した症例を対象とし,除圧術単独例と固定術併用例の術後3年以上の成績を調査した.除圧群が53例,固定群が11例,手術時年齢は69.4歳と64.9歳,術後経過は4年8カ月と4年7カ月であった.それぞれの術前と調査時のJOA score(自他覚所見)の推移は,除圧群が6.5点から13.1点で改善率79.4%,固定群が6.1点から14.4点で改善率92.5%であった.腰痛scoreは除圧群が1.6点から2.7点,固定群が1.1点から2.7点であった.つまり,除圧術単独でもほぼ良好な成績が得られ,固定術の適応はかなり限定できるといえる.除圧群の中に改善不良例が5例存在した.それらは,経過中に圧迫骨折にて腰椎後弯となった例,変性側弯進行例,術前から腰椎後弯で腰痛性間欠跛行を呈していた例であった.