日本腰痛学会雑誌
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介護士の職業性腰痛の実態調査
伊藤 友一武田 陽公
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2004 年 10 巻 1 号 p. 95-99

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抄録
この研究の目的は,介護士における腰痛の実態を明らかにしその予防に役立てることである.アンケート調査を行い,腰痛があると答えた男性14人,女性26人,平均年齢43歳を対象とした.直接検診後,腰椎立位単純X線写真,MRIの撮像を行った.また,アンケート結果から得られた腰痛に関連すると思われる不良姿勢につき電気角度計を用いて腰椎屈曲角度を連続的に測定した.検診の結果,神経学的に明らかな異常がみられた例はなかった.また,ADLに支障をきたすほどの器質的疾患を有する者はいなかったが,痛みの感じ方には個人差があることがわかった.腰椎分離が3人,隅角解離が2人にみられた.MRIで椎間板の輝度変化は,個人により軽度から高度の変化までさまざまな所見を示した.MRIで椎間板の後方突出が6人にみられた.電気角度計の計測より,一部の介護作業姿勢が腰椎に影響を及ぼしていることが示唆された.介護士の腰痛症予防には,作業環境の改善が必要である.
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© 2004 日本腰痛学会
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