日本腰痛学会雑誌
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投稿論文
腰椎椎間板性疼痛に対し前方固定術を施行した症例の術前MRIの評価
―椎体終板軟骨の輝度変化と腰痛との相関について―
大鳥 精司高橋 和久男澤 朝行井上 玄伊藤 俊紀守屋 秀繁
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2005 年 11 巻 1 号 p. 193-197

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抄録
椎間板線維輪以外の椎体軟骨終板にも感覚神経線維が存在し,終板の変性は腰痛の原因となることが報告されている.今回,前方固定術例の術前MRIの椎間板と終板の変性を検討した.対象は椎間板性疼痛と診断され前方固定術を施行し,除痛がなされた成績良好な症例47名であった.手術前のMRIの椎間板変性の程度,椎体軟骨終板の輝度変化(T1強調画像にて低輝度を呈するType A,高輝度を呈するType B)を検討した.当該椎間不安定性との相関も検討した.軟骨終板の輝度変化は正常群,14例に対しType A群14例,Type B群19例であった.MRIの椎間板変性の程度は正常群で有意にその程度は低かった.椎間不安定性は有意に正常群に大きかった.軟骨終板の輝度変化正常例は椎間板の変性の程度が低いが,椎体間の不安定性が強いために腰痛を生じていると考えられた.しかしながら椎体間の不安定性が安定化していても,軟骨終板の輝度変化異常例では,軟骨終板の変性の程度が強く,それが腰痛の原因となっていると考えられた.
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© 2005 日本腰痛学会
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