2009 年 15 巻 1 号 p. 145-149
腰椎椎間板ヘルニア(以下LDH)と変形性股関節症(以下OAH)に対するSLRテストで生じる臨床所見を比較検討した.対象はLDH102例,OAH141例である.両群とも手術施行例であり,両疾患の合併例は除外した.両群に対してSLRテストで生じる臨床所見を調査した.結果は,SLR角70度未満はLDH79%,OAH26%,疼痛誘発率はLDH83%,OAH25%であり,いずれもLDHで有意に高かった(P<0.01).誘発疼痛部位は,膝以下(臀部から膝以下までの疼痛)はLDH47%,OAH0%,臀部(臀部から大腿後面の疼痛)はLDH36%,OAH9%であった.本研究結果から,SLRテストの陽性率はLDHで有意に高く,LDHの診断におけるSLRテストの有用性が確認できた.しかしながら,両群ともSLRテストで臀部痛のみが誘発される症例があり鑑別に注意が必要である.