航空便の発達により, 遠隔の地へも短時間に輸送できるようになつたが, 航空便の性質をよく知つて居ないと輸送の成果があがらない。今回り成功によつて得た教訓を記すと
1.動物箱は木製が良く, 鋸屑をしいて保温すること。
2.飼料としては固形飼料を用い, 水分としては馬鈴薯を与えるだけで, 1週間位なら特に水を与える必要はない。
3.航空便は保温, 加圧装置を備えたコンパートメントによること。
4.受渡しの手続を敏速にして手間どらないよう予め十分に打合せをしておくこと。
5.一般に雄動物は雌よりも輸送に弱いようであるから, 繁殖用とする場合, 余り雄の数を少くせぬ方が安全である。
6.飼料の変化はA系, C3H系, C系に関する限り案ずるほどでなく, おし麦と魚粉, 野菜という飼料でも充分繁殖しうる。
以上を注意すると, 外国から実験動物を空輸により輸入して繁殖させることはそう困難なことではないようである。
終りに, 純系を快く分譲して下さつたHESTON博士, 中介の労を払われた宮地助教授に厚く感謝する。
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