コシダ,ウラジロは自然撹乱や人為的撹乱によって疎林化された場所にしばしば優占する常緑多年生シダ植物である.本研究では,これら2 種の野外におけるアレロパシー活性について検討するための予備試験として,レタス種子を用いたバイオアッセイを行った.実験の結果,これら2 種の当年生の羽片などいくつかの器官の水浸出液はレタスの幼根および下胚軸の生長を阻害することが示された.また,どの器官の水浸出液もレタスの生長を促進することはなかった.pH や電気伝導度などの溶液条件, 培養温度などの実験条件はレタスの生長に適当であったことから,その生長阻害は主にコシダ,ウラジロから浸出したアレロパシー物質によって生じたと考えられた.レタスの生長阻害は,これら2 種のアレロパシー活性が野外における優占の一因となっている可能性を示唆するものである.
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