小笠原島父島において淡水棲カメ類の定着状況を1999年9月22日-25日の4日間調査ワナかけ法及び見取り法, 住民を対象とした聞き取り法によって調査した.本島には在来種は生息しておらず, 現在まで確認された種はすべて移入種である.その結果以前確認されている地点及び他の島内全水系において全日個体を採捕ならびに観察することができなかった.またワナの中の寄せ餌も食べられた形跡などはなかった.また聞き取り調査においては現在までに実際に淡水棲カメ類を見たことがある住民ならびに関係者は調査した46人中37人 (80.43%) にのぼったが, 見た時期はいずれも3-4年前であり, ここ1-2年間での目撃例はまったくなかった.このことから本島において淡水棲カメ類は一時的に定着したものの環境の変化等により絶滅したものと考えられる.
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