『地学雑誌』の創刊は明治22年(1889)に遡ります。当初,『地学雑誌』はおもに地質調査などに携わっていた地質調査所や大学などの専門家によって明治16年(1883)設立された「地学会」の会誌でした。これより前,明治12年(1879)に設立された東京地学協会は当時『東京地学協会報告』を刊行しておりましたが,明治26年(1893)に地学会と合併してその会誌『地学雑誌』を引き継ぎ今日に至ります。この間,関東大地震での被災,太平洋戦争終戦前後の休刊(1945–1947)などの困難がありましたが,1961年以後隔月刊行となり,平成3年(1991)には創刊100巻を算えました。
東京地学協会がヨ-ロッパ各国での王立地理学協会の役割にならって創立された事情を反映して,会誌『東京地学協会報告』にはNaumann,坪井正五郎,小藤文次郎,神保小虎などの寄稿論文もありますが,大半は例会で行われた会員の外国旅行談・探検記やそのほかの外国事情の紹介などでした。東京地学協会が『地学雑誌』を引き継いでからは地学専門家の論文が増えましたが,以後,特定の専門分野に狭く限ることなく地球科学諸分野を含むわが国の地学界を代表する総合的な科学雑誌として地球科学の発展と普及に大きな貢献をして参りました。
現在では,日本列島を中心にアジアを基盤にした自然地理,人文地理,地球科学などの基礎科学に重点を置きつつ,21世紀のボーダーレス時代の人間社会が抱える諸問題を表層環境変動,生態系の変動,人口の爆発的増加と発展途上国援助,人,もの,情報,カネのボーダーレスに伴う,人口の都市集中,社会・政治変動までを総合的に扱う総合科学雑誌を目指しています。昨今,防災までを扱う環境問題,都市化問題,インフラ問題,省エネルギーなどを緊急の課題としていますが,この雑誌の中核は,雑誌の歴史が示すように,人間社会の基盤をなす固体地球変動と表層環境変動,その上で営みをなす人間社会の基礎科学です。最近は,生物圏も視野に入れたボーダーレスの総合科学を目指しています。今日,地球表層環境は宇宙変動に強く影響を受けていることが明白になり,銀河からゲノムまでを総合的に扱う時代となっています。本誌は,自然科学と人文社会を統合するだけでなく,地球の過去,現在,未来までを研究の対象としています。
公益社団法人 東京地学協会
が発行
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