日本頭痛学会誌
Online ISSN : 2436-1577
Print ISSN : 1345-6547
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原著
  • 山王 直子, 馬杉 綾子, 太田 実紀, 坂井 文彦
    2024 年 50 巻 3 号 p. 605-611
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/20
    ジャーナル フリー

      2021年4月から2022年6月までに637名の片頭痛患者にCGRP関連抗体薬を投与した.6ヵ月以上投与した患者はガルカネズマブ (GL) 222例,エレヌマブ (EL) 180例,フレマネズマブ (FR) 174例であった.月間片頭痛日数の50%減少はGL 63.0%, EL 59.8%, FR 59.6%で,重篤な副作用は認めなかった.61例で片頭痛が改善し,抗体薬を6ヵ月以上中止 (卒薬) できたが,22例が再開した.卒薬例は,反復性片頭痛,片頭痛罹患年数が少なく,治療開始前内服予防薬が少ないという特徴があった. 
      CGRP関連抗体薬は,片頭痛患者の頭痛頻度・程度を減らし,安全性が高い治療であることが,実臨床において確認された.

  • 樋口 司
    2024 年 50 巻 3 号 p. 612-616
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/20
    ジャーナル フリー

      長野県立こども病院総合小児科における小児頭痛患者について検討した.約11年間に115名が頭痛を主訴に初診した.男女差はなく,一次性頭痛39%,二次性頭痛61%であり,一次性頭痛の76%が片頭痛であった.二次性頭痛では起立性調節障害,心因性,感染症等に伴う一過性の頭痛が多く,起立性調節障害は思春期に,一過性の頭痛は年少児に多かった.頭痛の家族歴は一次性頭痛で82.9%,二次性頭痛では73.5%に認められ,母親に多かった.家族の頭痛が患児を受診させる動機になった可能性が考えられた.二次性頭痛でも頭痛の家族歴が多いことから,小児の頭痛診断には家族歴以外の病歴聴取や小児特有の病態の理解も重要である.

  • 東 壮太郎, 岡田 由恵, 山下 優子, 瀬戸 亜矢, 中西 理子
    2024 年 50 巻 3 号 p. 617-624
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/20
    ジャーナル フリー

      近年,頭痛診療において外国人受診者の増加,多国籍化・多言語化が認められ,実臨床での対応に困難を伴うことが多い.ウェブ上には多言語に対応した頭痛問診票が公開されているが,汎用性を重視しているため,その内容は十分とはいえない.われわれは,生成AIの翻訳機能を用いた多言語頭痛問診票の作成を発案し,考えられる特徴について検討した.本アプローチは,従来の問診票と比較して,多言語対応性,独自性,継続的改善,母国語有用性,拡張性,臨機応変性において優れている.これらにより診断効率が向上し,異なる言語間での情報の漏れや不足が少なくなり,今後増加が予想される外国人患者の診断治療に貢献することが期待される.

症例
  • 黒井 康博, 菊池 麻美, 新井 直幸, 久保田 有一
    2024 年 50 巻 3 号 p. 625-630
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/20
    ジャーナル フリー

      家族性片麻痺性片頭痛や,てんかんの症例では,巣症状の発生部位に一致して脳萎縮を呈することがある.われわれは,初診より7年の経過で著明な脳萎縮をきたした片頭痛の一例を経験したため,報告する.症例は50歳台の男性.前兆のある片頭痛の既往あり.失語,読字障害,視野障害などの巣症状を伴う片頭痛のため,当院に2年間で3回入院した.3回目の入院で左片麻痺を伴い,片麻痺性片頭痛疑いとした.初診時より7年後の頭部画像検査では,右後頭葉を中心に著明な脳萎縮を認めた.その機序として,①前兆期に出現する脳灌流の変化,②皮質拡延性抑制の反復,③痙攣の合併,などによる神経細胞障害が示唆された.

頭痛専門医認定試験
編集後記
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