本研究では、役割行動の受容過程を促進することに関連したスポーツ教育モデル並びに協同学習モデルのハイブリッドモデルを適用した大学での体育授業を対象に、学習者の役割の受容過程を明らかにすることを目的とした。授業参加者は、大学1年生46名(男子36名、女子10名)、研究対象者は、大学1年生男子1名であった。
収集したデータとしては、フィールドノート、感想文、半構造化インタビューのトランスクリプトである。研究者は、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて、データを分析した。さらに、フィールドノート、感想文、半構造化インタビュー間において、トライアンギュレーションをおこなった。
その結果、14個の概念と7つのカテゴリーが形成された。
学習者は、単元当初役割を受動的に受容していたが、単元経過とともに役割を自覚し、主体的に役割を担うように変容していった。特に、自身の働きかけが仲間の行動や試合結果のように、目に見える成果を生み出していると実感できる過程が役割の自覚的な受容にとって重要であった。
また、このような過程には、本人並びにチームメイトが社会的スキルを意図的に学習していくことが重要になる。さらに、その機会を教師が意図的に設定し、支援することが求められる。具体的には、社会的スキルの意図的な学習機会の確保、その学習を可能にする授業のデザインを踏まえた教師の支援が、学習者の自覚的な役割の受容を生み出していった。
本研究の結果、学習者が役割を自覚的に受容するためには、自己の働きかけが成果に結びつく実感を得る経験が重要であり、その過程を支える社会的スキルの学習と、意図的に設計された単元計画並びに教師の支援が不可欠であることが示された。
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