本稿では、非正規雇用から正規雇用、もしくは無業も含めた就業状態への移行確率について、パネルデータによる分析を行った。主な結果としては、不本意で非正規雇用で働いている場合、無業になる確率は低く、雇用契約期間がない場合と契約・嘱託では、同一企業内での正規雇用への昇進が進みやすい一方で、官公庁で勤務している場合、正規雇用への転職が進みやすくなっていた。男性では、官公庁で勤務している場合、正規雇用への昇進が進みやすく、女性では、派遣社員の場合、非正規雇用として転職する確率が高くなっていた。労働者に限定した分析では、公共の職業訓練校に通った経験が、中小企業での正規雇用への移行に影響を与えており、契約・嘱託では、中小企業、大企業・官公庁の両方で正規雇用への移行が起こりやすい一方で、派遣社員では、中小企業において、正規雇用に移行しやすいことが分かった。

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