統合失調症患者は,平均寿命が一般成人よりも10年から15年短いことが報告されている.そのため彼らの健康寿命を延ばすことが重要である.肥満(Body Mass Index,30kg/m2以上)で,心臓発作,糖尿病,脳血管疾患などの健康障害のリスクが高い統合失調症患者2名を対象とした.彼らは,サルコペニア性肥満を予防するための栄養指導を受け,毎日,肩関節の関節可動域運動および歩行訓練を行った.肩関節の関節可動域(屈曲,外転,外旋,内旋)は正常可動域を下回っていたが,ROMはわずかに増加した.したがって,関節可動域訓練は関節可動域を改善する可能性があると考えられた.しかし,これらの症例では,食生活の変化は認められず,体重は減少したが,筋力強化にはつながらなかった.したがって,サルコペニア性肥満の予防には,継続的な運動療法と栄養指導が必要であると考えられた.
抄録全体を表示