本研究はCOVID-19流行下における地域高齢者の社会的役割に注目し、それらの実態と関連要因について明らかにすることを目的として実施した。
65歳以上の高齢者127名に対して老研式活動能力指標の社会的役割4項目と各種調査項目値を比較検討した。分析の結果、「若年者に自分から話しかける」と回答した群は「話しかけない」と回答した群より、有意に孤食者と抑うつ傾向者の各割合が高く(各p = 0.00)、食品摂取の多様性得点は低かった(p = 0.04)。「若年者に自分から話しかけていますか」以外の社会的役割3項目と各種調査項目値の間に有意な差は認めなかった。「若年者に自分から話しかけていない」を従属変数、「孤食」と「抑うつ傾向」を独立変数としてロジスティック回帰分析を行ったところ「孤食」(オッズ比=4.28、95%信頼区間=1.69-10.83、p = 0.00)、「抑うつ傾向」(オッズ比=3.73、95%信頼区間=1.02-6.96、p = 0.01)ともに有意に関連していた。
今後、withコロナ、そしてafterコロナ下の状況の推移を踏まえつつ、横断的に社会的役割と健康との関連について調査することが重要となる。
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