症例は87 歳女性。腎硬化症による慢性腎臓病を有しており，血清クレアチニン（Cr） 1.5 mg / dL 前後で推移していた。近医で骨粗鬆症に対してゾレドロン酸の初回点滴静注を行い，12 日後にはBUN 74.9 mg / dL，Cr 7.90 mg / dL と高度な腎機能障害を認め入院となった。尿糖，汎アミノ酸尿，高度な低分子蛋白尿があり，尿細管間質障害・不完全Fanconi 症候群を呈していた。認知症や併存疾患のため腎生検による組織学的診断は困難であった。補液では腎機能障害・尿所見の改善に乏しく，CRP 12 mg / dL 前後の炎症反応も遷延した。診断的治療としてステロイドの投与（ステロイドパルス療法，後療法メチルプレドニゾロン 40 mg /日 点滴静注）を開始したところ，速やかに腎機能障害・炎症反応ともに改善を認めた。ゾレドロン酸による尿細管間質障害は急性尿細管壊死の報告が多い。本症例は組織学的診断が困難であったが，ステロイド治療が奏効したことからゾレドロン酸による尿細管間質性腎炎であったと推測された。ゾレドロン酸の投与後に炎症反応を伴う尿細管間質障害を来した際は，尿細管間質性腎炎の可能性も考慮すべきである。

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